下立売御門のクスノキ(京都御苑)

樹齢記録なし
幹回り2.76 m
樹種クスノキ(Cinnamomum camphora)

初期の映画は、この木の種類で動いていた。クスノキの材と葉を水蒸気蒸留して得られる樟脳は、セルロイドのフィルムや写真乾板を使えるだけの柔らかさにするための材料で、何十年ものあいだ、日本とその植民地が世界の樟脳の大半を供給していた。化学工業がテレビン油から作る方法を見つけるまでのことである。その取引を支えた木は森ごと切られた。この木は切られなかった。 立っているのは京都御苑の西の塀にある下立売御門を入ってすぐで、上京区は区民の誇りの木として高さ12.3メートル、幹回り2.76メートルと記している。樹齢はどこにも出てこない。この木の名を挙げた資料は区の登録だけで、そこにあるのは寸法であって年数ではない。 クスノキは常緑なので、2月も7月も同じ姿である。葉が濃く茂って暗く、葉を指でつぶすと薬箱のような匂いがする。この公園で一番大きなクスノキではない。歩いてすぐの宗像神社の楠のほうがはるかに大きく、何百年も古い。そしてこの木は、たいていの人がそちらへ向かう途中で素通りしていく木でもある。だからこそ、途中で上を見る理由にはなる。

無料。京都御苑は年間を通じて開いていて、明け方から日暮れまで入れる。

地下鉄烏丸線「丸太町」駅から徒歩約5分。

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